【第4回】海外旅行代理店向けウェビナー開催報告

2025年3月31日、「銀の馬車道サイクリングツアー」をテーマとしたウェビナーを開催しました。本ウェビナーは、兵庫県を舞台としたサイクリングツアーを題材に、欧米市場に向けて日本旅行商品の新たな魅力を発信し、定番ルート以外への誘客を促進することを目的としました。


日本旅行市場の現状と課題

現在、海外旅行者にとって日本はますます魅力的な目的地となっていますが、その多くが東京・富士山・京都・広島といった定番ルートに集中しているのが実情です。
全国各地で魅力的な体験プログラムやツアーが造成されているものの、その情報はなかなか海外には届いていません。

観光地としての知名度が高くない地域や、ハイキングや文化体験に比してニッチな市場とされる「サイクリングツアー」は、マスツーリズムとは一線を画すSIT(Special Interest Tourist)に分類されるということもあり、そのターゲット顧客層への情報発信とリーチ、そして誘客には高いハードルがあります。

今回の取り組み
こうした状況を踏まえ、ハートランド・ジャパンでは、兵庫県をフィールドとしたサイクリングツアーの魅力を海外の欧米豪を中心とした旅行会社に直接届けるため、ウェビナーを実施いたしました。

ウェビナー内容
1.日本におけるサイクリング事情 
日本のサイクリング文化の現状、注意点、日本の人気ルートやサポート体制などの紹介

2.銀の馬車道サイクリングツアーの紹介
明治期の銀輸送路「銀の馬車道」をベースとしたサイクリングルートの魅力、ツアーの詳細紹介

3.兵庫県の魅力
あわせて体験できる兵庫県の文化資源(城、温泉、酒など)の紹介


参加者の反応と今後の展望
チャットや最後に設けた質疑応答の時間では、ホテルやサポート体制など、具体的なツアー内容に関する質問が多く寄せられ、参加者の関心の高さがうかがえました。

今回のように、サイクリングという特定のテーマに対して多くの関心層が集まったことは、非常に意義深い成果でした。

これまでの日本のインバウンドツーリズムは、寺社仏閣やグルメ、ポップカルチャーなどを中心に発展してきましたが、今回のウェビナーでは「サイクリング」というアウトドアアクティビティを切り口に、日本の自然や地域文化に触れる旅の魅力を伝えることができました。


「銀の馬車道」を走るサイクリング体験は、その歴史的な背景に加え、沿線に点在する姫路城や温泉地、地酒などの地域資源との組み合わせによって、極めて魅力的な観光コンテンツとなり得ます。

ウェビナー後のアンケートでも、「兵庫県で最も魅力を感じた観光資源」として「歴史ある温泉町」と「姫路城」を挙げる声が最も多く寄せられ、旅行者にとって本ルートが高い満足度をもたらす可能性を示唆する結果となりました。


銀の馬車道をテーマにした今回のウェビナーは、兵庫県の知られざる魅力を伝える第一歩であり、今後の展開に向けた重要な土台となりました。

今後は、地域のストーリーを伝えられるガイドの育成や、体験型プログラムの品質向上、多言語での情報発信体制の整備など、民間連携による受入環境の強化が求められます。

また無名のデスティネーションであり、かつSIT向けの商品を実際に販売して誘客まで実現するという一連のプロセスは、それなりの難易度があります。今回のウェビナーを通じて数社とは具体的な商談が進んでおり、共同でのパッケージ商品の造成、テーラーメイド型の提案への組み込みなどの話が進行しています。
一つの街をフィールドとして文化体験などを組み合わせるタウンサイクリングでなく、1週間以上にわたってサイクリングそれ自体を楽しむことを目的としたロングのサイクリングツアーは、日本においてはまだ未開拓です。

ハートランド・ジャパンでは、今後も地域の個性を活かしたツアー造成・販売促進活動を通じて、持続可能で魅力ある日本旅行の新たな形を海外に発信してまいります。

 

【Ehime Kurushima-kaikyo-ohashi Bridges, from Mt. Kiro】【Gunma Carp Streamers, Akaya Lake】【Yamaguchi Farmer in Higashi-ushirobata Rice Terrace】
【Hiroshima Streetscape of Yutakamachi-Mitarai】【Niigata Wakabayashi-tei House】©経済産業省、【表示4.0 国際】ライセンス https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/