西条は京都の伏見、兵庫の灘と並ぶ三大銘醸地 と評されており、西条駅の南側には7つの酒蔵 が建ち並ぶ、「酒蔵通り」があります。
12本の赤レンガの煙突となまこ壁など、明治・ 大正から昭和初期の酒蔵や建物など独特の景観を楽しむことができます。

酒造施設群はイコモス(国際記念物遺跡会議)の「日本20世紀遺産20選」に選定されました。
広島と言えば、宮島、平和記念資料館、平和公園を思い浮かべるかもしれませんが、お酒好きの方にはまだオーバーツーリズムでない西条で是非ともゆっくりとお酒を楽みながらツアーに参加いただけるのではないかと思います。

このツアーでは、まずは松尾神社に行き、お酒の神様にお参りをします。

その後は、150年の歴史をもつ賀茂鶴酒造へお邪魔してミュージアムで日本酒に関する展示を見学します。
そこで、酒造りは原料となるコメの選定と精米から始まり、良質な酒米を使うこ
とができるのは地元農家の協力があるからこそ、1898年に日本初の動力精米機を導入して依頼、すべて自社で精米をしていることを学びます。
またここでは、国賓にも振舞われた大吟醸酒を飲むことができます。

次は350年の伝統をもつ、白牡丹さんへお邪魔します。
普段は公開されていない、天保蔵(古い内部の酒蔵)の方も見学できました。
一般の方は入ることができない内部の蔵が残っており、それを見せていただけるので伝統を感じることができます。
こうしたオーセンティック(本物らしい体験、日本の伝統的)な体験は欧米のお客様に喜ばれるので、かなり惹きの強いコンテンツになり得ます。

この酒蔵では麹づくりにこだわった酒造りが行われており、炭酸ガス制御による麹造りを行います。
また、しぼったままのお酒を急速凍結させた、凍結生酒 の試飲ができます。
酒は水が命と言われますが、ここでは龍王山の伏流水が長い年月をかけて適度なミネラルを含み、鉄分がほぼ無い清らかな中硬水となって酒蔵の井戸から湧き出ています。
日本酒の成分の約80%は水です。
水の質が酒の質を決めるといわれ、仕込み水以外にも洗米から割水までたくさんの水を必要とします。白牡丹では、酒造りのすべての工程で井戸水を使っている点が日本酒の価値はもちろんのこと、酒蔵体験の価値も高めています。


その次に、山陽鶴さんへ移動しました。
ここでは日本酒の仕込み水を使用した書道体験で書いたオリジナルラベルを貼った日本酒を お土産として持ち帰ることができます。
山陽鶴の古民家のような趣ある店内にて龍王山の湧き水と墨を摺り、郷土の伝統工芸である熊野筆を使用して、西条へ想いを馳せて酒銘を和紙に書きます。

オリジナルのラベルを酒瓶に貼り世界で一つの酒を創るという体験で、自分が酒造りの一部に加わることができたという立て付けになっています。
ほろ酔い気分で心を開いて自分の思ったことを表現する「酔書」体験は単なる酒蔵見学に一味違った付加価値をつけるものかもしれません。

ディナーでは、郷土料理美酒鍋と日本酒に合うおつまみ9種+日本酒3種飲み比べを行います。
蔵人たちを慰労する酒蔵の賄料理、美酒鍋をいただきます。
酒と塩、こしょうのみで味付けし、あっさりした中にも酒が素材の旨みを引きだし日本酒の肴としても楽しむことができます。

このツアーは酒蔵見学、利き酒の楽しみはもちろん、西条の方のお酒造りにかける情熱、丁寧さ、美味しいお酒が造りたいという宿人さんの真摯な姿勢やこだわりもツアーに参加して伝わってきました。
半日、ゆっくりと楽しく充実した時間が過ごせていただけると思います。

こうした日本酒の持つストーリー、地域の街のストーリーをハートランド・ジャパンの使命として伝えていきたいと思います。