2021年9月20日〜24日に、アジアで初めて開催されたATWS(Adventure Travel World Summit)VIRTUAL HOKKAIDO, Japanに参加しました。弊社は2018年からATTA(Adventure Travel Trade Association)のメンバーとなって、ATTAを通じて知り合った海外の旅行会社との取引を行なっており、一定の成果を生んでいるため、今回のATWS参加により、さらにそのネットワークを強固なものにすることが狙いでした。
これまで一度参加すると一人当たり約20万円という高額な参加費にたじろぎ、なかなか手が出せなかったATWSですが、今回は、北海道が開催地であることと、またコロナの影響でバーチャル開催となったこと、そして、オンライン(バーチャル開催)となり参加費が通常の約10分の1程度に変更になったことで、弊社は今回初めて6名体制でこのサミットに参加してきました。さらに行政の事業を複数件受託していることから、その「行政やDMOの代理人としての商談テーブル」と自社の商品を売り込むための「自社用商談テーブル」との2つのテーブルを購入して挑みました。
サミット自体は時差があるため、夜の22時から深夜3時くらいまでという日本時間で生活している我々にとっては少々過酷な日程となりました。
結果的には、ATWSのバーチャル商談用のイベントプラットフォーム(Eventia)の不具合もあり、当初予定されていた商談のうち約半分は「No Show」となり、商談自体が成立せず(ドタキャン)、有機的な商談に導くことはできませんでした。とはいえ、せっかくの商談会ですので、できるだけのことはやろうということで、商談が実際に成立した海外のエージェントとは、Heartland Japanのフィロソフィーやミッション、そして持っている旅程プランなどの説明を手短にしました。商談時間自体は1回あたり15分とかなり短いので、そんなに深い話はできません。本当に手短かに自己紹介をする程度で終わってしまうため、いかに相手の印象に残すか、ということに腐心しました。結果的には、海外のエージェント22社、メディア関係者18名と商談を行うことができました。まずまずの数ではないでしょうか。
日ごろの取引で付き合いのあるカナダの旅行会社との商談では、久しぶり「Hello」と言葉とともにはじける笑顔を見ることができて、バーチャルであれども、人と人の繋がりを海をまたいて感じることができました。
気づいたことは、ATTAに加盟しているアドベンチャー系の旅行会社と言えども、日本のデスティネーションに対するリテラシーはまだまだ全く高くないということと、ハードコアなアドベンチャーよりもソフトなアドベンチャーの方が今のところ市場性があるということ、ATWSに参加している旅行会社やエージェントたちは皆小規模なブティックスタイルの旅行事業であり決裁者に近い立ち位置の人たちによる交流と信頼から商機が生まれる、ということでした。
さらに特徴を挙げるとすると、ある意味このアドベンチャートラベルのマーケットの市場全体の規模はかなり大きく今も成長の途上にあるですが、そもそもがマスではなく、ニッチなマーケットである点。お客さんも個人もしくはスモールグループが主体である点。さらにパッケージ商品をそのまま買うということはなく、基本的な100%がテーラーメイド型のフルカスタマイズ商品であるという点においては、欧米のトラベル市場の形態を代弁していると言えるでしょう。つまり、従来型の日本の昭和的な観光、大型バスで大量消費をするような観光形態とは真逆にあるということです。
今後我々がやらなければならないことは、その商談会の場では「いいね、いいね、ワオ!」ベタ褒め、絶賛なのですが、その後、問い合わせはなくなり、こちらから連絡をしてもなしのつぶて、という「商談会あるある」に陥らないように、タイミングや内容を工夫したアプローチをしていき、彼らメンバー会社との信頼関係を築いていく、ということだと思います。
地域ではようやくアドベンチャートラベルの認知が広がってきた、という段階で、まだ受入体制を整備するのはこの先、という状況です。また、残念なことにこの日本のインバウンドツーリズムの業界においては、アドベンチャートラベルは一過性のブームのように捉えられている節があります。確かにAT(アドベンチャーツーリズム)の方法論を100%完コピすること自体には、あまり意味がないことかもしれません。また、ATTAが示しているスタンダードやフィロソフィーを単純に受け売りしていれば、商談がうまくいきビジネスが成功するわけでもありません。
ただ大事な点は、ATTAの唱える世界観や旅行ビジネスにおけるスタンダード、ガイドスタンダード、安全基準などは、広く欧米系の顧客に適用できるものであり、かつ、欧米系の旅行のマインドセットの中でも先端をいっており、それをマスターしておけば、大抵の欧米系の顧客対応にも応用できるということです。つまりATTAのスタンダードのベース(フレーム)を理解した上で、海外の旅行者の消費マインドのリアリティと向き合い、海外旅行会社との協働によって収益ビジネスとして成就させておくことは、今後、AT顧客のみならず、広く欧米系、アジア系にまで、広げていけるということになります。ですのでATに取り組むことは日本の観光産業を発展させるについてはとても価値があると考えています。
日本は3000万人以上の訪日客が訪れるようになりました。ただ、70%は東アジア(中国、韓国、台湾、香港)で占められております。また、宿泊者数の多くはゴールデンルート(東京、富士山、京都、大阪)+広島に留まっており、それ以外の地域はまだ認知がないという状況です。また、日本でできる体験の認知のおいては未だに東京、京都、大阪、広島などをフィールドにした都市型観光に留まっており、地域でこそ楽しめるアウトドアのアクティビティにおいては、まだまったく海外では知られていないのです。我々は日本にはこんなにいいトレッキングのコースがあるんあるんですよ、こんなに素晴らしいカヌーのコースがあるんですよ、というプレゼンテーションを海外に対して行なっていかなければならないと考えています。
またツーリズムとは、地域文化や歴史の伝承という側面もあります。その地域に眠っている民話、民芸、風習、郷土料理、信仰・・・こういったものもトラベラーを惹きつける資源となり得るのだ、という視点を以って、地域誘客を図っていきたいと思っています。
1)地域に外貨をもたらし、経済活性化を促すこと
2)世界目線で地域の価値を見つめ直すことで、 住民が地元の価値に気づき、誇りを持ち、 その価値が後世につながる社会を創ること
この2つを私たちのモチベーションとして、今後も地域の価値を変えることに情熱を燃やしていくことを改めてお約束します。