目に見えない価値や人という資源に光を当てる、そういう視点で一緒にコンテンツ作りができていると感じています。
パンフレット
目に見えない価値や人という資源に光を当てる、そういう視点で一緒にコンテンツ作りができていると感じています。

長野県
長野伊那谷観光局様(ご担当:殿内様)


長野伊那谷観光局とは
一般社団法人長野伊那谷観光局は、長野県南部、南信地方に位置する上伊那地域の観光を官民一体で進める地域連携DMOとして平成30年に設立されました。

日本で一番広い谷と言われる伊那谷は、その両側を日本最高峰クラスの山が連なる二つの日本アルプス山脈が走り、谷の中央を、竜が天に昇るかのような速い流れの様(さま)から名付けられたといわれる天竜川が貫く盆地です。ハイカーの間で世界的に人気のある中山道木曽路とは兄弟のような存在で、かつては江戸と京都を東西で結んだ中山道、日本海と太平洋を南北で結んだ塩の道が交わる交通の要衝でもありました。

これらの地域観光情報の発信に力を入れるとともに、アルプス直近の大自然とユニークな地形を生かしたイベントや体験プログラムの企画・実施等、さまざまな事業を行っています。

長野伊那谷観光局様インタビュー

背景と課題

この地域のDMOとして平成30年の10月に立ち上がり、インバウンドもDMOのミッションの中にありました。地域の課題としては、やはり人口は減少して国内旅行も減少していくという未来が見えていて危機感がある一方で、地域のインバウンドマーケットに対する理解度は著しく低い、ということでした。事業を進めていくにあたっての地域との合意形成など、当初はいろいろな課題がありました。

令和元年に入って、インバウンド勉強会をやったり、多言語のウェブサイトに着手していこうという動きがあったりと活動してきたのですが、なかなか「インバウンドはこの方針で行こう!」という方向性が見つけられずにいました。また、伊那谷は認知度が低いという深刻な課題もあります。海外でも国内でも、「千畳敷カール」は知っている、「高遠の桜」の名前は知っている、という人はいても、「伊那谷」という言葉と結びつかない。そのあたりの難しさも感じていました。

ハートランド・ジャパンに依頼した理由

きっかけは、令和2年度の国土交通省の北陸信越運輸局のAT事業(アドベンチャーツーリズム事業)に参加し、それに応札したハートランド・ジャパン(リベルタ株式会社)さんとの出会いがありました。その際は、伊那谷の体験コンテンツを作っていただいたり、ツアーの造成をしていただいたりとお力添えいただきました。その後翌令和3年度から本格的に委託させていただき、前年度に一緒に作った商品のFAMトリップやガイド育成など、海外向けの受け入れ環境整備を進めるとともに、長野伊那谷観光局としてのVJTMの出展を手伝っていただくなど、さまざまな支援をいただいています。支援をいただきながら整備を進めていく中で、インバウンドで、欧米豪で、アドベンチャーツーリズムという切り口に可能性が見えてきました。それがハートランド・ジャパンさんに依頼をした「決め手」になっています。

とにかく現場を大事にする姿勢

私は令和3年から赴任してきているので、その当時は担当ではなかったのですが、令和2年度のAT事業に関わった職員等と話をしていると、「ハートランド・ジャパンさんは現場を大事にしてくれる」という声が出てきます。我々のオーダーにも対応が早く、的確なアドバイスをいただいています。現場を大事にする姿勢に共感したこと、きめ細かな対応をいただいている部分が信頼に繋がって、継続して業務をお願いしています。

我々が持ってない旅行会社さんたちとの繋がりをしっかりと持たれているという点も本当に心強く、旅行会社だからこそのプロフェッショナルな商談スキルなども含めて、ハートランド・ジャパンさんにお願いできてよかったと思っています。

中期戦略の策定

令和4年度には、ハートランド・ジャパンさんにお力添えいただき、観光の中期戦略を策定しました。我々長野伊那谷観光局としては、単年の積み上げだけでなく、5年先を見越したうえでの各年の積み上げが大事と考えておりましたので、策定の部分から関わっていただき、中期戦略を一緒に立てていけたことはとても意義があったと思っています。

令和9年にはリニア中央新幹線が開通し伊那谷地域に「長野県駅」が新設する見込みがあったので、そこを一旦のゴールとして戦略を立てていきました。今は工期がだいぶ延びてしまいましたが、そこに合わせてのターゲット設定も行いました。これまでのターゲットは中国・台湾、欧米のFIT(パッケージツアーや団体旅行を利用せずに個人で海外旅行を行うこと)が主でしたが、ターゲットを絞り込んだり、アジア圏は台湾にまずフォーカスしていこうと決めたりと、これを機に整理を行いました。あとはもちろん欧米豪です。

我々はDMOなのですが、FITのお客さまに直接販売するということは、問い合わせ対応も含めてなかなか難しいという実情があります。また、もちろん問い合わせがあれば対応しますが、そういった待ちの姿勢だけではなく、アプローチできる先としてBtoBに絞ってプロモーションしていこうという話になりました。それを令和4年、5年できちんと整理をしました。

アジア圏では台湾にフォーカスしたのが令和5年度の事業に繋がっていきます。令和5年度の事業ではハートランド・ジャパンさんと台湾向けのパンフレットを作成し、それを用いて商談に参加して実際のBtoBの旅行会社へ売り込みを行いました。商談時にもハートランド・ジャパンさんに支援に入っていただいたのですが、販路開拓という意義のある活動をしっかり支援いただいたと満足しています。

目に見えない価値の伝承

先ほど伊那谷の認知の低さが課題、というお話をしましたが、ハートランド・ジャパンさんでは、地元目線では当たり前すぎて活用に至らないようなものも、地域の資源として発掘して、目利きして、コンテンツに仕上げる、というようなことをミッションとして掲げていらっしゃいます。その目利きの部分が私たちとも通じるものがあります。アドベンチャートラベルというとアウトドア一辺倒となりがちですが、地元の暮らしに触れることだったり、地域の住民と触れ合うことだったり、社会の課題について語り合うだったり。あるいは、文化体験で言うとわら細工や相撲の土俵を作れる日本唯一の職人さんなど、目に見えない価値や人という資源に光を当てる、そういう視点で一緒にコンテンツ作りができていると感じています。

クリエイティブの制作

令和5年のパンフレット制作を手伝っていただきました。その際には、ツアーやコンテンツを整理して、セールスコールを実施しました。コンテンツの造成から販売に至るまで一連の流れを一気通貫で委託できるというのは、ハートランド・ジャパンさんの強みなのではないかと思います。パンフレットの制作だけを切り取ってお願いするのではなく、種まきのところから受入環境整備の一連の流れなど、背景を把握いただいたうえでまとめてお任せができる点が信頼と安心につながっています。

他社との違い

これまで大きい旅行会社関係のコンサル担当の方が営業に来られてそのお話を聞いたり、セミナーにも参加したりと、いろいろな方とお付き合いさせていただいていますが、やはり地域に入ってくる度合いなども含めて、現場の肌感を一番感じたのはハートランド・ジャパンさんだと感じています。実際、スタッフの方が遠方の現場まで何度も足を運んでくれ、そのような現場を大事にする対応も大きな安心材料になっていますし、実際に現場として助かっています。

ハートランド・ジャパンさんのスタッフは地域の皆さんからも頼られる存在で、それは、仕事ぶりはもちろんですが、現地に深く入っていただいているからこそ得られた信用だろうと感じています。

今後の展望

体験コンテンツやツアーはもちろん、リーフレット等の販促物も含め、ハートランド・ジャパンさんに協力いただいたものを活かし切るというのが我々に課されたミッションです。パラグライダーなど空のコンテンツもあれば、山登りのコンテンツもある、自転車もあれば、伝統文化もある。そういった地域資源を活かし、具体的な成果に繋げていくのが、これからのミッションだと思っています。

ハートランド・ジャパンの制作支援

台湾向けパンフレットの制作

新たにアジア圏のターゲットとして定めた台湾市場に向け、プロモーション用のパンフレットを制作。二つのアルプスを想起させる画像やアウトドアアクティビティのビジュアルと共に、日本の伝統文化や食のスタイルも伝える内容に。広域アクセスマップや詳細なアクセス情報、さらに体験コンテンツや宿泊施設までプロットしたアドベンチャーマップなど、実用性も兼ね備えた仕様に仕上げました。

【Ehime Kurushima-kaikyo-ohashi Bridges, from Mt. Kiro】【Gunma Carp Streamers, Akaya Lake】【Yamaguchi Farmer in Higashi-ushirobata Rice Terrace】
【Hiroshima Streetscape of Yutakamachi-Mitarai】【Niigata Wakabayashi-tei House】©経済産業省、【表示4.0 国際】ライセンス https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/