観光開発されていない地方の集落に、西洋の富裕層を誘客する観光ビジネスについて、「WBS」(ワールドビジネスサテライト)からの取材依頼が来ている。
先日の「和風総本家」からのテレビ取材依頼に続き嬉しい限りだ。
ただ「和風総本家」は押さえたい絵面を提供できるかどうかというこちら側の都合で、泣く泣く取材をお断りせざるを得なかった。
取材依頼が来るのは、いつも急なので千載一遇のチャンスを逃してしまいがちだ。
今回もどうなることか、、、(涙)。
自分が挑戦していることは、社会的な意義もあることだし、日本の地域の価値の転換を示唆するよい機会になるので、なんとか取材を実現し、テレビ放送してもらいたい。
そのためにもうまく対応しなければならない。どう対応したらよいのだろう?
僕の実現したい世界は「日本の集落を世界ブランドにする」こと。イメージはイタリアのチンクエテッレ。日本の集落をパッケージングして、ブランディングして、世界に伝え、日本くささが色濃く残る地域を世界ブランドにすることだ。
地域と世界をつなげるインターナショナルな地域商社でありたいと思っている。そのために地方と海外を行き来する生活を送っている。海外に有望なチャネルを作ることと、地域に今あるお膳立てしないコンテンツをいかに海外向けに加工して伝えていくかが手腕の見せ所だ。
手始めは観光。観光はすべてのものを内包できるフィジカルなコンテンツビジネス。正直、簡単ではないと感じている。
これまで顧客として定義されていなかった顧客層に対し、これまで商品となり得なかった地域を価値化して提供する未踏の領域の事業。そもそも需要を創り出すところから始めなければならない。
顧客は自分が欲しいものを知らない。知っているのは東京・京都・広島だけで、それで十分に満足という顧客層が多い。そんな中で、日本の地域はこんなにも魅力的なんですよ、ということを認知させ、さらにお金を払う価値があると思ってもらうことはそれなりに難易度が高い。ただ「本物の日本を知りたい」という一定の顧客層からの反応はすべからくいいので、実際の消費・コンバージョンに移るまでにリードタイムが必要ということなのだろう。
また、幸いなことに事業に貢献したいと申し出てくださる方が、日本人、外国人を問わず多いことが本当にありがたい。今もイタリア人、ドイツ人、オーストリア人のコントリビュータが自国に対して、献身的に我々のサービスをプロモートしてくれている。こうした方々の尽力があって日本の地域と世界のブリッジがたくさん出来上がりつつある。
昨年から観光開発に携わらせてもらっている熊本の阿蘇地域では、復興をフックとする新しい価値の創出手段としてインバウンド観光に着目し、火山や温泉、世界一の規模のカルデラなど豊かな自然を素材に新しい価値を創り出そうと日々尽力されている。こちらは「火山とともに暮らす人々の息吹」をテーマとさせていただいた。
同じく観光開発でお手伝いをさせてもらっている島根県と広島県を結ぶ「三江線」沿線は、今年の3月末に廃線となった。廃線をマイナスに捉えるのではなく、インバウンド観光開発で新しい価値を吹き込もうと地元の方々が集まって日々活動されている。こちらは「神話」や「川」に息づく人々の生活をテーマにプロダクト開発を行わせていただいている。
日本の地域には世界向けのマーケティングの目を持ち込めば光る個性がたくさん埋もれている。
僕はこの30年で人口が半減した山陰の小さな漁村の出身だ。人口は今2600人ほど。誰からも忘れられそうになっているこの町は僕にとってはいつもコンプレックスだった。萩の市街地からは車で40分ほどかかる僻地。いつも自分と人、自分の町と人の町を比較しては劣等感を感じていた。地元の方々はそんな町でキャンプ場を作ったり、漁船の遊覧船を運行したり、イカをブランド化したりして頑張っている。
こういったところに自分が海外顧客を獲得することでしっかりと送客していきたい。それが地域に誇りをもたらすことになる。僕はこれを事業として持続的に回転するモデルにしたいと思っている。
自分が今やってることには持って生まれた「使命」を感じている。教師をする母がそんな片田舎で52歳で亡くなったのも因果だろう。早くこの夢を実現しないと、恩返しすべき親戚やお世話になった近隣の方々の人生に間に合わなくなってしまう。
そんなことを改めて思い起こしてしまっている。
取材は来てくれるのだろうか(笑)。
I’m quoted in an article in one of the most well known English newspapers in Japan.
ハートランド・ジャパン
リベルタ株式会社
澤野 啓次郎