八ヶ岳アドベンチャー事業がスタート

2021年シーズンがスタートしました。今年度の皮切りは山梨県と長野県にまたがる八ヶ岳がフィールド。弊社はアドベンチャー目線で滞在型の体験ツアーを欧米人向けに造成します。

 

 

これまで八ヶ岳では多くのコンテンツが開発されてきましたが、まだまだ素材の発掘とブラッシュアップの余地はありそうです。ポイントは、この八ヶ岳をというフィールドを題材にして、いかに「日本という国」を伝えるかです。八ヶ岳という一つの日本の側面を通じて日本という国を深く知るきっかけづくりをする、それが我々の役割だと思います。

 

 

そもそも神話の時代には、木花咲耶姫(このはなさくやひめ)は富士山の神様。八ケ岳の神様は磐長姫(いわながひめ)。その昔、富士山と八ヶ岳の高さ比べの「水裁判をしよう」との事になり八ケ岳の峰から富士山の峰まで長い樋をかけ、そこに水を流したそうです。 すると、水は八ケ岳から富士山へと流れ、八ケ岳のほうが高いという事に決まったそうです。ところがプライドの高い富士山の神様はこの結果にはどうしても納得ができず、怒って思わず八ケ岳を蹴飛ばしたそうです。 すると、天地も揺らぐほどの大音響と共に八ケ岳は8つに裂けてしまったという伝説があるほどに、八ヶ岳は高くて日本では重要な山だったのです。

 

 

富士山に来たからには、八ヶ岳も。その2つの山に来てこそ、日本における山の文化が理解できる、そんなポジションに持ってこれたらいいのではないかと思います。

導線としては、東京、日光、富士山、木曽、松本などが考えられます。その中継点としての役割が期待されます。

 

今回の現地視察での収穫は、大きく3つに大別できました。

 

1)山岳信仰

八ヶ岳は「八ヶ嶽」と記されるように古の山岳信仰の行場で知られたところ。かつては修験者たちが多く訪れたと聞きます。山のフォルムも美しく火山としての造形美は日本随一です。まだ詳細な修験の情報は拾えていませんが、今後外国人にプレゼンするためのストーリーの素材集めが期待されます。

 

 

スピリチュアリティは欧米ではSBNR(=Spiritual But Not Religious=目に見えない「心の豊かさ」や「スピリチュアリティ」に関心はあるが、宗教的としては信仰する訳ではない人たち)として知られ、禅、瞑想、精進料理、ビーガン料理、巡礼、滝行・・・など、旅行先での体験としても取り入れられてきていますので、この八ヶ岳のフィールドでもなんらの形で活かせたらいいと考えています。

麓の小淵沢には身曾岐神社という名の、なんともスピリチュアルなパワーを秘めた神社も存在します。ここでの古神道の修行体験は2日コース。外界とのやり取りを絶って二日間を神域内で過ごし、大自然の息吹を感じながら、自らのいのちに息づく本来のリズムを取り戻します。

こうした日本人の自然信仰を海外の方々にも知ってもらい、ひいては日本人自身もこのクールな精神文化にもっと関心を寄せてくれたら本望です。

 

 

2)開拓の歴史

清里の歴史は、1938年のダムに沈む村から28戸の開拓民が移り住んだことに始まります。東京の水がめ小河内ダムの開発で、強制的に八ヶ岳山麓念場ヶ原開拓地へ送り込まれた人々が、筆舌に尽くしがたい苦労を乗り越え、開いた土地、それが清里でした。中でもポール・ラッシュと安池興男は清里の2人の開祖として知られます。

 

 

その後昭和の壮絶なペンションブームを経て、現代に至るわけですが、栄枯盛衰の変遷の真っ只中にある清里。今後この街をどう作って、どう次世代につないでいくのか、これが課題となります。「なぜ日本なのにこんなに欧米風の街並みなのか」「なぜペンションブームは起きたのか」「なぜ今は街が変わってしまったのか」。上部の華やかさではなく、こうした開拓民たちの生きたストーリーと街のストーリーも伝えていけたらと思います。

 

 

3)オアシス

ここでは2つの側面でオアシスという表現でこの八ヶ岳の麓を捉えてみます。

1つは火山とそれに由来する水の恵みとそれを分かち合い感謝する日本人の姿です。三分一湧水、大滝湧水、女取湧水など、八ヶ岳南麓には数多くの湧水があり、​その数は50か所以上ともいわれていますが、安定的に水を分配し利用する利水が不安定な地域で人々はどう灌漑し、どうその恵を分かち合ってきたのか、この地の水の恵み「オアシス」に対する精神文化を伝え残せたらと思います。

 

 

またもう1つの側面は欧米人向けにはオアシスになるということです。日本旅行の行程は、どうしても「日本食続き」「旅館続き」になりがちです。旅行においては適度なバランスが大事ですが、さすがに10日間以上ずっと同じ味付のものを食べ続けるのは酷な話です。そんな中、日本続きの合間にこの清里に寄るとそれは「オアシス」になるということです。パン、チーズ、ソーセージ、ハム、ベッド・・・これらは慣れない東洋の国の旅中にある外国人にとっては箸休め的なリラクゼーションとなります。

 

 

今回、これらの題材を元に、現地受け入れ側とのレベル感、とっていきたい顧客層などをすり合わせつつ、アドベンチャー路線で現地のツアーやコンテンツを作り込んでみたいと思います。

 

 

水の流れを3方に分水する「水の恵みを平等に分かち合おうとする当地の方々の精神性」を伝えていけたら本望です。

 

 

2021年6月12日

【Ehime Kurushima-kaikyo-ohashi Bridges, from Mt. Kiro】【Gunma Carp Streamers, Akaya Lake】【Yamaguchi Farmer in Higashi-ushirobata Rice Terrace】
【Hiroshima Streetscape of Yutakamachi-Mitarai】【Niigata Wakabayashi-tei House】©経済産業省、【表示4.0 国際】ライセンス https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/